「美しいもの」
それはいったい何だろうか。
本当のところ、私たちにも、わからない。
誰かが言ったからでもなく、
たしかに自分の中で、その美しさに言葉をうしない、
忘れてしまわぬように、直感の源を探し始めていたりもする。
高価や豪華が、美しさのすべてとは限らない。
誠意を感じさせる質のありのままを、数量ばかりでは測れない。
だけど、軽井沢の森がそうであるように、
美しいものは、
毎日そばに在るだけで、言葉はなくとも、
質実で質素な美しさを語りかけてくれる。
私たちは本当にそれをわかりたくて、
そこはかとなく美しいと感じるものに、もう一度、心を留めてみたくなりました。
Margaret Howell
ブランケット
自然に還る色彩
イギリスのブランド「 マーガレット・ハウエル」。
1970年にメンズシャツを発表して以来、
実用性と自然からのインスピレーションを礎としてきた
デザイナーのマーガレット。
彼女の感性は、
建築デザインの素地と通じるところがあるように思える。
そして私たちが
「マーガレット・ハウエル」に惹かれる理由がそこにある。
彼女は、幼少期に、
イギリスの伝統的な天然素材の生地を選び、
子どもたちのために洋服を繕ってくれた母に影響を受け、
英国の歴史ある繊維工場への憧憬と、
田舎町の風景への敬意をたしかなものにしたそう。
イギリスの田舎の風景は、
軽井沢のそれとは異なるだろうけれど、
彼女の感性の中にある自然の色彩は、
この軽井沢の森の中にあって、
土の色、樹木の色と呼応して、
実に自然体なたたずまいを見せる。
1970年代から今に至るまで、
豪華なファッションが脚光を浴びようとも、
実用性と自然の色彩から創造することを貫いた
「マーガレット・ハウエル」のデザインからは、
自然に敬意を払い、人の暮らしを想像すること
すべてにおいて、
学ぶことが多いと思う。