少し癖のあるものの方が、長く付き合える気がする。
エスプレッソメーカー「ARCO」もその一つ。
電気を使わない、アナログな仕組みがいい。 静かな時間に、順序よく手を動かしながら淹れるひとときは、ほんの少し心を整えてくれる。近所のコーヒー屋さんに行く回数は減りそうだが、豆のバリエーションを楽しめるようになったのは、新しい喜びだ。
最近、プロダクトの生みの親である SOL'S COFFEEの新井さんと栗本さんに使い方のレクチャーをしてもらってからは、代官山のアトリエに行くたび、進んで淹れるようになった。 二人の情熱にも、心を動かされた。
人の手を経て届いたものを、また手で扱う。
その連なりに触れていると、静かに人との繋がりを感じる。
学生時代、トラットリアで大きなエスプレッソマシンを扱っていて、それは一種の憧れでもあった。
けれど、暮らしに迎えるには少し大げさすぎて、なかなか踏み切れなかった故に、このプロダクトに込められたストーリー、美しいデザイン、そして永く使える道具としての佇まいが、じんわりと、日々の幸せに繋がっている。
