三菱一号館美術館
学生の頃、岩波文庫版のワイルド『サロメ』の挿絵に、言いしれぬ暗い世界と耽美の美に引き込まれた。 ワイルド自身はビアズリーの絵を好まなかったということを今回初めて知ったが、私の中での『サロメ』は、やはりビアズリーの絵とともにある。 あの白と黒の極端な対比、線のリズムと装飾は、どこかジャポニスムの流れも感じさせ、それがまた美しい。
いつものように最終日近くに滑り込んだが、多くの人々が熱心に、一つひとつの作品に見入っていた。
小ぶりな作品に描かれた繊細な線は、まるで息を潜めて語りかけてくるようだった。
