大学の課題で、箔を扱った。
銀箔を硫黄で焼き、その上から岩絵具を重ねていく。
思うようにいかないからこそ、素材に向き合う時間が深くなる。
銀が徐々に変化していくさまは、まるで時間そのものを目にしているようで、美しく、少し怖い。
描いたのは、緑の揺らぎを集めた方形のグリッド。
湿度や光、日々の気配が、静かに染みこむように重ねたり、削いだ。
琳派の箔を使った作品なんかを見た日には、こんなものを生み出す人間の技術は、もはや超人的だとしか思えない。
静かに、黙々と作業を続けながら、この文化の素晴らしさに、ただただ有り難い気持ちになる。
